自殺島
このページでは物語の序盤、導入部のみネタバレしています。
ストーリーの結末や、大筋を楽しむには影響がないよう気を付けております。
概要
全17巻 完結済
作者:森恒二 ヤングアニマル
あらすじ
そういえば聞いたことがある。
ネット上で囁かれる噂。
年々、増加の一途をたどる自殺常習者。
日本国政府は、かさみ続ける常習者の医療費及び社会復帰支援の費用を支えきれなくなっていた。
彼らを生かすことも殺すこともできない政府は、常習者たちの自由意思を尊重し、国籍を剝奪して島流しにしている。
その島の名は…『自殺島』。
それは都市伝説のようなもので、誰も現実の話だとは信じていなかった。
主人公セイは自らの生きる目的が見つけられず、自傷行為に及ぶが、恐怖で完遂しきれず更生施設へ入所させられるなどを繰り返していた。
ある時、行為に及ぶもまた完遂できなかったセイは、生きる権利と義務を放棄する書類にサインをしたことから島に送還される。
そこで出会った人たちはみな常習者で、島に来てもなお(来たからこそ?)、断崖から身を投げたり、首をくくる者も少なからずいた。
しかし、セイを含めた大半はそんな最期を受け入れられない。
脱出を試みる者もいたが、島の周囲1kmより外への侵入は、日本国への領海侵犯であるとして巡視艇に追い返される。
死ぬことも逃げることもできない常習者達はこの島で生存するための生活を始める。
参考画像
感想
この島に来る人たちは、そもそもが実社会で勝者になれなかった人たちの集まりなので、自分に自信がない人が多いです。
けれど、集団生活において、自分の得意分野でその能力を活かし、活躍の場を見出すと、彼らに生に対する希望が芽生えます。
あくまで漫画なので実際にそういう発想になるか分かりませんが、島に来たことで逆に生き甲斐を見つけ、頑張って生きていこうとする人もいます。
弱者ばかりの環境ではどうしても完璧なリーダーは現れず、いろいろな考え方の人たちがいるので、争いも起こります。
それでも障害を乗り越えながら助け合って生きていこうとする姿には感動を覚えます。
時折出てくる作者の経験を活かしたサバイバル豆知識なんかも勉強になります。(使う機会が訪れるのかは不明)
恐らく、この知識をどっかで披露したかったんだろうなって勝手に想像してます。
生存し続けることと、生きる意味を見出すこと、新しい命を育むことや一つの生命が終焉を迎えることなど、豊かな国に産まれた私たちだからこそ、生命の美しさやあり方みたいなものを考えていきたいと思わせてくれる漫画でした。
なんてちょっと大げさかもしれませんが…。
人権とか、そういった優しさを考慮しなければとても合理的な発想。
すごい荒療治なのかもしれませんけどね。
実現したら世論はうるさいでしょう。
まぁ、漫画ですから。
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価格:555円 |